狩猟文化のこと:田舎で生まれた人と都会で生まれた人は文化が違う
取材を受けるたびに思うことがあります。
女性で猟をするっていいうのはどんな感じですか?
これから猟を始めようと思う女性に対してコメントを。
というような質問、コメント等への返答に悩んでいます。
取材としてはマイノリティーは記事にしやすいからその部分をメインに聞くために取材に来ているのだろうと思います。
だけど世の女性猟師もそうだと思うけど自分が注目されたいとか
マイノリティーだからかっこいいとか
女性だからどうだとかそんな事を考えて猟をする人はいないんじゃないかな?
そもそも子供の頃から父が猟師をやっててとってきた肉を食べる習慣が
ある家庭で育っている時点で公務員の家庭で育ったような人とは
根本的な生活文化が違います。
日本人が韓国人の犬食がわからないように
狩猟文化の無い生活で育った人には狩猟文化を持つ人々を理解するのは難しいんだろうなと思います。
私が狩猟を始めたきっかけも父から「今なら教えてあげるよ」と言われて
じゃあ自分で動物を屠ることが出来るかチャレンジしてみようと思っただけ。
出来なかったらすぐにやめようと思っていたぐらいです。
自分が食べているものがどうやって出来るのか、それが自分にも出来るのかというのは
生活の中で自然に発生する課題です。
だから地域の為だとか、社会の為だとかそんな大義名分は求められても与えられないし、本当に単純に「やってみるか」と思っただけなのです。
猟友会も女性ハンターが注目されると狩猟者を増やしたいから
女性ハンターを持ち上げ、増やそうと躍起になります。
(狩猟者登録のお金のあがが多くなるのだろうか?)
だけど狩猟文化のない人にとって動物を屠るのはとても心が折れる事だと思います。
単純な好奇心で始めた私でも実際に屠る時はとても勇気がいりました。
お腹にぐっと力を入れて歯を食いしばって屠りました。
こんなに勇気のいる事を押し付けがましくやらせたくはないし、無理に狩猟者を増やす気も無いです。
やりたいと思った人がやってみて出来たら続けてみればいい。
私も心変わりをしてやめるかもしれないし。
流行る文化もあれば廃れる文化もあるってもんです。
犬を伴わない単独猟:車に乗って鹿を探し一人で行う猟の仕方
特にダニが多い夏~秋にかけてはあんまり犬を山に入れたくないと頭を悩ませる猟師も多いと思う。
私の地域では夏は猟期ではないものの駆除がでており、猪鹿の猟は可能となっている。
今回記載する方法は早朝と夕方の1時間程度の時間しかできない猟の方法だが鹿の習性を利用するためとても効率がよい猟の仕方だと思われる。
まず日の出ちょっと前ぐらいにコーヒーを一杯飲み家をでる、うちから山まではおよそ15~20分の距離だ。
夜間に歩き回って草を食んでいる鹿も昼間はどこかでおとなしく眠っているのであろう。昼間にぐんと見る頭数が少なくなる。
しかし、日の出後1時間ぐらいはまだ池や川などで水を飲んだり、草を食みながら山の上の方まで移動をしている途中であるため林道で鹿に出会うチャンスがかなりある。
私の地域ではよく見る日であれば1時間に5頭ぐらい出会うチャンスがある。
基本的には林業の人が入っているような透けた見通しがよく低い草が生えているような場所を鹿は好むため、そういった場所のある林道を重点的に車で回る。
鹿にこちらが見つかっても鹿は斜面の上段の方で立ち止まる習性があり、それを車からおり、そーーっと移動して撃つ。
ここで大きな物音を立ててしまうとあっというまに逃げてしまう。
車のドアを閉めるのは厳禁だ。
弾を込めるのも静かに行うべし。
イラストの赤丸の位置をスラッグ弾で狙うと多くの肉をとることが出来る。
また、お腹を撃ってしまうとかなりの距離を走り回るので半矢になり見失う可能性も高く、鹿を苦しめることになるため注意!
落ち着いて頭か肩の付け根を狙うこと。
多少移動しても鹿の足跡と血の跡をつけていけばすぐに見つける事ができる。
天候によって鹿の移動する時間帯が変わってくるため、天候にかなり左右される猟法でもある。
雨の日、鹿は山の斜面でじっと耐え忍ばなければならない。
しゃがむと水が胴にしみて体温が奪われる為、座る事が出来ない。
仕方なく水気の少ない林道付近にでる事が多い。
この猟をしている間「いい天気」とは雨や霧雨の日の事を指すのだ。
逆に天気の日で太陽が早く登ってしまうような場合は鹿は早めに移動してしまうため遭遇するチャンスが少なくなる。
他にも雨上がりの朝は遭遇チャンスが少ない。
霧の日は鹿が逃げにくい。等
経験していく事でだんだん鹿との遭遇率が上がっていくように思う。